教会式: キリスト教の「結婚」の意味

日本で結婚式と言えば、純白のウエディングドレスを着てチャペルで挙げる「教会式」が主流になりつつありますね。一般常識に疎い私は、友人の教会式で牧師さんや聖書の一節、聖歌の歌詞などを目にしても、教会式がキリスト教式の結婚式だとは気づきませんでした←

アメリカで「日本では教会式が主流だ」と言うと、

But you're not Christians, right!?
(え、でも日本人てクリスチャンじゃないよね!?)

と、よくびっくりされます。

アメリカ人の大半を占めるキリスト教が考える「結婚」について、ほんの一部ではありますが、クリスチャンの友人に教わった素敵な考えた方を英語を交えながら紹介します!

尚、和訳部分は特記していない限り、分かりやすいように私がつけたものです。日本語版の聖書とは表現が違うかもしれませんが、ご了承ください。

西森 マリー (著), 英語を学ぶのと同時にその文化背景も知れる一冊。

誓いの言葉

「あなたは、生涯〇〇を妻(夫)とし—」という誓いの言葉って、誰に誓っているか、意識したことはありますか?

本来、教会で牧師さんや参列者の前で新郎新婦が誓い合う言葉は、キリスト教の信じる「神様」に誓っているそうです。

かくいう私たちは教会式をしたものの、神様に誓うというよりはお互いに誓うとか、牧師さんに誓うとか、参列者に聞いていてもらうとか、そんな気持ちでした。というか、神様に誓ってるなんて知りませんでした

日本にいた時は全然キリスト教のことを知らず、意識もせず、な感じでした。

そんな宗教にもとても疎い私ですが、友人のおかげで、キリスト教の聖書に書いてあるたくさんの素敵な表現というか考え方を知りました。以下、いくつか紹介します。

「結婚」とは

"they become one flesh"

前提として、キリスト教は「愛」についての教えが多い宗教のようです。それは男女の間に限らず、両親・兄妹に対する愛、他人に対する愛、いろんな愛を指します。

私はまだほんの一部しか知りませんが、旧約聖書の最初の方にあるこちらの記述とその意味を初めて教えてもらった時、とても感動しました。

24 That is why a man leaves his father and mother and is united to his wife, and they become one flesh.

The Holy Bible -NIV- Genesis 2: 27

簡単に和訳すると、「だから男は両親を離れ、妻と一体になる」。

初めて読んだ時は、「どゆこと?」と頭の中は「?」だらけでしたが、これは「結婚」について聖書の中で一番最初に書かれている部分なんだそうです。

注目して欲しいのは最後の "they become one flesh" ( 一体になる ) という部分。つまり、「一緒になる」、「一つになる」ということを表しています。"flesh" は「肉体」とか「塊」を意味します。

"marry" との関連

"marry" という単語について考えた記事でも触れましたが、"marry" には一貫して「一緒になる」、「一つになる」というコンセプトがあります。旧約聖書がず———っと前に書かれたことを考えると、"marry" の語源はここからきているのかもしれませんね。

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英語メモ

また、一説ではイエス・キリストのお母さんマリア様 ( Mary ) から来ているのではと考えられているそうです。

・・・話を戻して、「結婚すると相手も自分と一体」と考えるクリスチャンは、「相手は自分でもあるから、自分を扱うように大切にする」と考えているそう。

それまで私は、「結婚」は独立した2人がお互いに手を取り合って一緒に人生を歩んで行くこと ( 個体が2つ )と考えていたので、もちろん相手を大切にすることに変わりはないけど、それは「相手」を大切にしていました。

上記を知ってからは、「結婚」とは2人の人が1つになって ( 個体は1つ ) 歩んで行くことで、相手は自分でもある自分を扱うように大切にしよう、と思うようになりました。

Become One Flesh

( まだ修行中ですが... )

"let no one separate"

So they are no longer two, but one flesh. Therefore what God has joined together, let no one separate.”

The Holy Bible -NIV- Matthew 19:6

神様が一つに結びあわせた二人は、誰にも離すことは許されない

ようは、離婚は許されない、という解釈になるんだそうですが、牧師さんによって "no one" の指す意味は異なるそうで、他者には引き離すことはできないけど、当人同士で決めて離婚するのは仕方ないとか、解釈にはいろいろあるよう。

まあこの後に、「相手が不倫や不貞をした場合は例外として認める」といった内容が続くのですが。

とりあえず、一度神様に誓ったんだから、離婚しないように努力しなさいね、というメッセージですね。

夫婦としての努め

21 Submit to one another out of reverence for Christ.

The Holy Bible -NIV- Ephesians 5:21

「キリストへの畏れをもって、夫婦は互いに仕え合いなさい

これは後に続く妻や夫への教えの大前提となっているそうです。

「支(ささ )える」も「つかえる」で変換予測で出てくるんですね!ここで言われている「仕え合いなさい」は、「支(ささ) え合いなさい」という意味で解釈してもいいのかもしれません。

夫としての努め

25 Husbands, love your wives, just as Christ loved the church and gave himself up for her —(中略)—28 In this same way, husbands ought to love their wives as their own bodies. He who loves his wife loves himself.

The Holy Bible -NIV- Ephesians 5:25

「夫は、キリストが教会を愛したように、妻を愛しなさい —(中略)— そのように夫も、自分の身体のように妻を愛さなくてはなりません。妻を愛する人は、自分自身を愛しているのです。」

これはクリスチャンでない私には説明が難しいのですが...つまりはキリストは自分のことなど顧みず、常に「教会」のことを考え、自分の命を捨ててまで「教会」を守ったその精神や姿勢にならって、夫は妻を愛しなさいね、ということなんだと思います。

また、上で触れた "become one flesh" のところと同じく、「自分を愛するように妻を愛しなさい」という部分は、「妻は自分でもある」ということを教えたいんだと思います。

なんだかすごくずっしりとくる教えですね。

妻としての努め

22 Wives, submit yourselves to your own husbands as you do to the Lord

The Holy Bible -NIV- Ephesians 5:22

「妻は、主 (神様) に仕えるように、夫に従いなさい

ここで言う「従う」というのは、主従関係ではなくて、チームのリーダー(夫)サブリーダー(妻) という関係だそうです。

大統領と副大統領のような関係。

つまりは夫を立てなさいよ、ということですかね。夫婦円満の秘訣かも?

夫を立てなさいとは日本でも古くから言われていることですが、立てられる奥さんてほんとにすごいと思います。

でも実は、立てることは夫のため、であると同時に妻のためでもあるのかも
( 立てるは夫のためならず、巡り巡って妻のため ———なんて。笑)

日本の教会式でよく聞く牧師さんのくだり

日本でも教会式で牧師さんが「愛は寛容で——」というくだりを少しお話していますよね。これもキリスト教の聖書から抜粋されたものです。

Love is patient, love is kind. It does not envy, it does not boast, it is not proud. It does not dishonor others, it is not self-seekingit is not easily angered, it keeps no record of wrongs. Love does not delight in evil but rejoices with the truth. It always protects, always trusts, always hopes, always perseveres.Love never fails.

The Holy Bible NIV -- 1 Corinthians 13:4-8

これは私の訳ではなく、実際に牧師さんが読んでいる言葉を載せます。

愛は寛容であり、愛は親切です。また人をねたみません。愛は自慢せず、高慢になりません。礼儀に反することをせず、自分の利益を求めず、怒らず、人のした悪を思わず、不正を喜ばずに真理を喜びます。すべてをがまんし、すべてを信じ、すべてを期待し、すべてを耐え忍びます。愛は決して絶えることがありません。

新改訳聖書 -- コリント人への手紙 1 13:4-8

私は初めて友人の結婚式に行った時にこれを聞き、当時はこれが聖書の引用とは知らず、「なんて良いことを言う牧師さんなんだ...」と、すごく感動したのを覚えています。笑

特に「愛は寛容で」と「すべてをがまんし、すべてを信じ、—(中略)—、すべてを耐え忍びます。」という部分は当時、いろいろな意味で胸に染みました。笑

結びに

意外と、日本でもよく言われていることもありましたね。つまり、知らないうちにキリスト教の考えた方が身近にあると私は思っています。

また、よく言われますが、結婚生活は本当に色々あって、お互いに「一緒にいるための努力」を続けることができなければきっとだめになりますよね。

そんなとき、信者でなくてもこのような「考え方」を知っているかいないかで、相手のため(自分のため)に努力できるかどうかが変わってくるんじゃないかな〜と思います。

せっかくご縁あって一緒になったのだから、ずっと楽しく幸せに時間を重ねていきたいですね。

英語が苦手だった著者が、和訳された洋書を読んでいるうちに洋書には聖書からの引用が多様されていることに気づきます。当時高校1年生だった著者が西洋の考え方を理解することを目的に英語で聖書を勉強し始めると、高校3年生時には英語の成績が学年トップに!西洋の文化を知りながら、英語も磨くことを意識した本です。
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