EmpathyとSympathyの違い
よく "empathy (共感)" と "sympathy (同情)" がこんがらがるので、両者の意味を改めて学び直してみました。こうして日本語と繋げられれば普通に分かるのですが、そもそも「どっちがどっちだっけ?」となってしまいます。
調べていたら、RSA Shortsという動画の中に "empathy" と "sympathy" の違いについてとても分かりやすくまとめられたショートムービーがありました。語り手は、勇気、傷つきやすさ、恥じること、共感することなどについて研究をされているアメリカのBrené Brown博士という方です。
このビデオによれば、"empathy" と "sympathy" の違いは感情的な繋がりがあるかどうか、なんですね。
- empathy: 苦しんでいる他者との感情的な繋がりがある。心がその他者と同じところにある。
- sympathy: 苦しんでいる他者との感情的な繋がりは無い。コメントには距離感がある。
だんだん両者の違いが分かってきましたが、もう少し掘り下げてみようと思います。
em- から始まる言葉
接頭辞 "em" は "empathy" の意味に何か関係があるんじゃないかなと思い、調べてみました。
というのも、"em" から始まる他の言葉には何か共通点がありそうだからです。例えば、embrace (受け入れる), embryo (初期の胎児), employment (雇用), emotion (感情), embarrassment (恥), embody (取り入れる), etc...
em-
etymonline.com
word-forming element meaning "put in or into, bring to a certain state,"
語源学の辞書 etymoline.com によると、接頭辞 "em-" は何かの中に取り入れる、というような意味を作るそうです。上で例示した単語はなんとなくみんな「何かの中に取り入れる」というコンセプトに当てはまる気がします。
だとすると、"empathy" は他者の感情を自己に取り入れ、共に感じ、あたかも自分も同じ状況を味わっているかのような感覚だと言えそうです。
sym- から始まる言葉
比較するために、接頭辞 "sym-" についても調べてみました。etymonline.comによると、"sym-" は "syn-" と同義のようです。
syn-
etymonline.com
word-forming element meaning "together with, jointly; alike; at the same time,"
簡単に訳すと、「接頭辞 "syn-" には "一緒に、共に、同様に、同時に" などの意味を作る」ようです。
そうすると、一見 "sympathy" と "empathy" は同じに思えてきます・・・。ですが、"sympathy" には「中に取り入れる」という大事な部分がありません。
なので、"sympathy" は他者の状況を一緒には感じるものの、他者の感情自体を自己に取り入れることはしない、と理解しました。
日本語で考えてもこの違いが当てはまる気がします。「共感 (empathy)」は他者の心を自分も同じように感じること、「同情 (sympathy)」は他者に対して可哀想に感じること(他者の感じていることと自分の感じていることが違う)。
まとめ
- empathy: 他者の感じていることを自分に取り入れ、同じように感じようとすること。
- sympathy: 他者の状況に対して自分なりに可哀想に思うこと。
特に接頭辞のおかげで、これからは "empathy" と "sympathy" を混同することが無くなりそうです。とっても勉強になりました。