アメリカでの主人の研究留学(Jビザ)が4年目に入り、Jビザで滞在できるのはあと2年になりました。
その後もまだ主人のプロジェクトが続きそうなこと、私も働き始めたことなどが重なり、Jビザの後はグリーンカード(永住権)での滞在を予定しています(願望)。
グリーンカードにはいろいろな方法での申請があるみたいで、その中で私たちはEB2というカテゴリの中の「National Interest Waiver (NIW)」 という、グリーンカードのスポンサーのいらない枠で申請中です。
研究者だとEB2やEB3の枠で出す人が多い印象です。
だいたいは、Jビザ → Hビザ(就労ビザ)→ Hビザのスポンサーありきの EB2 または EB3 、みたいな感じで永住権を申請するみたいです。
私たちの場合は、主人がHビザで私がそのままその配偶者ビザになると私が働けなくなるらしいので(私の理解の範囲では・・間違ってたらすみません)、Hビザはスキップしてグリーンカードを申請しました。
(私も自分でHビザを取る、という選択肢も無いわけではないけど、Hビザのハードルはやたら高くて難しそう。働きたい分野の学位をそもそも持っていないこと、外国の大学を出ていること、その分野の就労経験がないことなどなど、私がHビザを取れる確率は1%くらいに感じています。なので、それより取れる確率の高そうな主人のEB2にしました。ちなみに、Hビザの配偶者は、Hビザ本人がI-140というグリーンカードの最初のステップを申請していると、就労許可を取れるとか何とか。)
CONTENTS
NIWとは
NIWとはNational Interest Waiversの略で、本来グリーンカード申請に必要な雇用主のスポンサーや仕事が確保されている証明などが特定の条件下で免除してもらえる枠のことです。
「特定の条件」のちゃんとした説明はできないけど、研究者の場合、博士号を持っていてある程度の研究業績があるとNIWの条件を満たせるんじゃないかな思います。自分ではそう思わなくても、腕のある弁護士さんはCVとか経歴からいろいろ拾ってくれるので、まずは弁護士さん探しをするといいと思います。
移民局に提出する書類がものすごく大変なので、たいがいは弁護士さんを雇って書類の作成をお願いすることになると思うのですが、NIWで通るかどうかはその弁護士さんの力次第な気がしています。(大学によってはNIWでもサポートしてくれるかもしれないので、一旦聞いてみるといいかも。)
ちなみに私たちをサポートしてくれている弁護士さんたちのホームページにもNIWのことが書かれているのでご参考までに:National Interest Waiver (NIW) — https://www.wegreened.com/niw/
グリーンカードの申請には準備だけでもかなりの時間がかかるので、早めに弁護士さんを探すのがいいかも。
North America Immigration Law Group
私たちはNorth America Immigration Law Groupという弁護士事務所にお世話になることにしました。
ホームページ:https://www.wegreened.com/
この弁護士さんたちを選ぶまでに3つの弁護士事務所に連絡して、一番価格が親切でかつ実績もありそう、評判も良く聞く、この人たちなら任せられそう!と違和感なく思えたこのNorth America Immigration Law Groupを選びました。NIWを申請した日本人研究者の方々の間でもよくお名前を聞く、Victoria Chen弁護士のいる事務所です。
例えば、弁護士費用だけを見ると他の2つは最初のステップ(I-140)だけでも$8,000ほどするところをこの事務所は$3,500〜$5,000ほどでやってくれます。
安いからサポートや書類作成の質が落ちるのかというのは比較できないから答えられないけど、最初の連絡の段階からこの事務所はすごい慣れてる感が伝わってきて、メールもしっかりしていて安心感がありました。
I-140を提出し終わった今、実際のサービスや提出した書類の出来など、私は個人的にすごく良かったと感じました。
Free Evaluationの結果
この弁護士事務所のホームページの Free Evaluation にあるメールアドレスに連絡をして、私たちのケースでEB2に出せそうかどうか、申請にかかる実費や弁護士費用などの見積もりなどをしてもらいました。
メールには
- EB-2 NIWを考えていること
- Google scholarのリンク
- 最新のCV
などを添えました。
その結果、EB-2 NIW の "Approval or Refund" というサービスで$3,500でやってもらえることに(現時点では値上がりしているみたいです)。もし申請が通らなかった場合全額返金してくれます。申請がだめだった場合、再申請を1回だけ追加費用なしでやってくれるそう。
(最初から「EB2のNIWを考えている」と言ったのでそのままのカテゴリで返ってきたけど、どのカテゴリか言わなかったらあちらがカテゴリを判断してくれたのかも。)
ちなみに当時の主人の状況は、健康科学・生物学分野でのポスドク5年目(日本2年、アメリカ3年目)、Google scholarのcitation数は700弱くらい、査読付き論文数は65本くらいでした。
google scholarのcitationが100以下でもApproval or Refundサービスでやってもらえた、かつ申請が通った、という経験談も聞くので、やっぱり最初の一歩は弁護士さんに連絡して、自分達の状況を簡単にチェックしてもらうことだと思います。(たいがい最初の見積もりは無料でやってくれるはず)
また、google scholarのcitationはあくまでもひとつの目安でしかないので、もしcitation数が少なかったとしても、できる弁護士さんだったら他のアピールできる要素を探してくれると思います。
私たちはとりあえずは推薦書無しでI-140を提出したけど、もし移民局に追加書類を求められたら、推薦書などをそのときに用意する予定です。(推薦書の下書きも弁護士費用込み)
USCISが高評価するもの
グリーンカード申請の最初の関門「I-140」と一緒に提出する "petition letter" は、申請者がどうアメリカに利益をもたらすか、というアピール書なのですが、アメリカの移民局 USCIS がこのletterを審査する際に評価に入れるもの入れないもの、たくさんあるそうです。
そのうち、弁護士さんが言っていたのが以下の2点。
論文のImpact Factor
そのエビデンスの一つに査読付きの論文数や論文の内容などが含まれます。
弁護士さん曰く、「Impact Factor が 4 以下の論文はUSCISはあまり評価しない」とのこと。
なので、IFが4以下の論文はエビデンスにならないということで何本か弁護士さんに却下されました。
ジャーナルのランキング
弁護士さんは、petition letterの特記事項として各分野の10位以内に入るジャーナルに掲載された論文を入れていました。それ以外の論文はUSCISにとっては高評価にならないとのことでした。
弁護士サポートに対する主人の感想と評価
主人は書類作成がすごく大変だったらしく、「弁護士の質は良いかもしれないけど大満足ではない」みたい。
お金をもっと払って書類の作成をもっと弁護士側がやってくれるなら、自分はそっちの弁護士の方がいい、というのが主人の感想。
petition letterを作成するために、弁護士からはいろいろな形でこちらの情報や返答が要求されました。主人が時間をかけて要求された書類に返答を書いたり修正したりして返すと、こちらの出した内容や表現がそのまままるっと定型フォーマットに入れ込まれた感じでpetition letterの下書きが返ってきました。
確かにフォーマットは、素人には作れないだろう素晴らしい出来なのですが、アピールポイントの説明を考えて文章を作るのは弁護士ではなくこちら側な印象。そこが主人にとっては大変だったよう。
アピールポイント、強み、分野の内容を一番良く理解しているのはクライアントだから、クライアント側にしっかりと内容を練ってもらっている、というのがこの弁護士事務所のポリシーみたい。(ごもっともではある)
別の弁護士事務所では、最初の費用見積もりの段階で「あなたのバックグラウンドから、こんなストーリー展開で申請書を作れます」というかなりしっかりめにpetition letter用のストーリーを書いたメールをくれたので、その弁護士さんはこちらの提示した内容から大部分を弁護士側で推測してストーリー展開を考えて書類作成してくれるのかも(?)。(その後にクライアントの修正依頼とかがあって、letterが仕上がっていく感じ)
でもそちらの弁護士は事務所の人数が少ないのか、このI-140のステップだけで$8,000もしたので、ちょっと手が出せませんでした。
いずれにしても、自分でいちからこの書類を作り上げるには1年くらいかかるんじゃないかというくらい大変です。I-140の準備については経験豊富な弁護士さんを雇って時間を買ったことは良い判断だったと思います。
審査にはここから15ヶ月ほどかかるそう。
いろいろと綱渡り状態だけど、とりあえずグリーンカード申請で今できることはないので、万事上手くいくことを願うばかり。
思っていた以上にスムーズにことが運び、2022年10月にI-140の審査が完了しました。約5ヶ月の審査期間でした。この弁護士事務所さんの同時期の他のケースもだいたい4~6ヶ月で完了しているものが多いように感じます(EB2-NIWの場合)。弁護士さんの細やかな書類作成のおかげで、追加資料(推薦書など)の提出もありませんでした。現在はJビザの2年間帰国義務免除申請の結果待ち中で、申請方法についてはこちらの記事に書いてみました。